時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

疑問に満ちた孫氏のメガ・ソーラー建設計画

 ソフト・バンクの孫氏は、原発事故を受けた脱原発・反原発の流れに乗るかのように、いち早く自然エネルギーへの転換を訴え、メガ・ソーラー(大規模太陽光発電)計画を打ち上げたそうです。関西広域連合が、この案に賛意を示しているようでうが、この計画には、疑問があります。

 第一に、この計画は、電力会社による電力買い取り制度を前提としているのでしょうが、太陽光発電による電力コストは高く、電力料金の値上げをもたらすことは、神奈川県の事例を挙げて、既に指摘しました。大規模化によるコスト・ダウンにも限界があり、発電設備の製造にも、大量の電力を消費するそうです。これらのコストは、全て、電力の消費者に転嫁されることになります。

 第二に、民間の一企業の計画に、地方自治体が予算をつぎ込むことにも問題があります。これでは、地方自治体が孫氏に、縁故で利権を与える構図となります。公的な機関が資金を拠出するならば、全ての事業者に対して公平であるべきであり、自治体と特定の事業者との癒着は政治腐敗として非難されます。

 第三に、大規模な太陽光発電を行うには、広大な土地を要しますが、国土の狭い我が国では、用地取得のコストが高くつきます。しかも、パネル設置に適した平地ともなりますと、立地場所も限られてきます。もしかしますと、関西広域連合は、公有地の使用許可を想定しているのかもしれませんが、これもまた、一民間事業者との癒着となります。

 スマート・グリッドが未整備であり、かつ、蓄電池も高額であることを考えますと、現時点で、この計画を実施するには、負担が重すぎると思うのです。”利益は孫氏に、負担は国民に”、ということでは、国民の多くは納得しないのではないでしょうか。

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