時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

孫氏の計画は買い取り制度の悪用か

 昨日の記事でも、孫氏のメガ・ソーラー計画の問題を書いたのですが、この計画、太陽光発電買い取り制度の悪用なのではないかと思うのです。

 孫氏は、総額800億円を投じて、全国10か所の太陽光発電所を建設するそうです。この計画自体、孫氏が、発電事業に参入することを意味しております。平成7年より、我が国では、電力の自由化が開始されており、厳密には、発電事業は、電力会社の独占ではないのですが、コストの面から参入が限られてきました。つまり、企業は、電力会社から電力を購入した方が、低コストで電力を調達できたのです。本来、孫氏もまた、このコスト高の問題に直面するはずなのですが、この問題を解決する方法がないわけではありません。それは、政府の太陽光発電買い取り制度を利用し、電力会社に、有無も言わさず、”買い取らせる”ことです。太陽光発電発電効率は突出して低く、原子力の10倍、石油の4倍、LNGの8倍、水力の5倍・・・なのですが、買い取り制度を利用しますと、1キロワット40円で売却できます。つまり、孫氏の事業は、この制度なくして、成り立たないと考えられるのです(それとも、技術的に低コストの太陽光発電が実現するのでしょうか・・・)。もちろん、高額の売却価格は、電気料金に上乗せされます。

 太陽光発電が先んじて普及したドイツやスペインでは、電力料金の上昇と不公平感の拡大が起きたため、現在では、見直されてきているようです。孫氏の計画が実現されますと、電力を使用する全国民に影響を与えるのですから、太陽光発電買い取り制度の商業利用の是非を含めて、充分な議論を行うべきですし、孫氏もまた、国民に説明すべきと思うのです。

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