時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

再生エネ法―電力強制買い取りという方法は間違いでは

 昨日、三党合意により、再生エネ法の成立の見通しが立ったと報じられていましたが、この法案、安易に通してよいのでしょうか。そもそも、電力の強制買い取りという方法は、間違っていると思うのです。

 電力強制買い取りに反対する理由とは・・・

(1)事業者のみが得をする
 この制度は、産業と国民に多大な負担を課します。ところが、収益の大部分は、発電事業者に転がり込み、実際に、再生エネの技術向上に取り組んでいる企業の利益にはなりません。一旦、設備を購入して、それを使用し続ければ、収益は、長期的に事業者の懐を潤すだけなのです(事業者は、以後、何らの経営努力も要らない・・・)。

(2)技術・研究開発を行う企業には選択権がない
 事業者の優遇は、どのような発電設備を購入するかは、事業者の選択権である点にも認めることができます。事業者が、技術力をもつ国内企業ではなく、価格競争に優る外国製品を購入すれば、国民がコストを負担するにも拘わらず、国内産業の振興には繋がりません。

(3)再生エネグッズは蚊帳の外
 再生エネ技術は、売電用の発電施設のみならず、様々な製品に組み込まれています。電力買い取り制度では、こうした製品分野は、何らの恩恵も受けないことになります。

(4)電力料金の上昇に歯止めがかからない
 電力会社が高額で全量を買い取るとしますと、事業者の拡大は見込めます。しかしながら、事業者の増加は、即、電力料金の値上がりに連動するのですから、産業や国民にとりましては、無限に電力料金が上がっていくことを意味します。

(5)買い取り価格決定が全て
 この制度では、買い取り価格が事業の存続を左右します。価格決定は、第三者機関に委ねられるとも報じられていますが、人為的な価格決定を伴う制度は、長期的な安定を保障しません。事業者に不利となることもあれば、国民に不利となる場合もあるのです。

(6)消費者は事業者を選択できない
 一般の製品ならば、消費者は、提供者を選ぶことができます。しかしながら、強制買い取り制度ですと、消費者は、提供者を選ぶ権利を失うことになります。

 再生エネ法は、電力の供給部門、しかも、事業者のみに偏重しており、その効果も期待薄です。問題点の多くは、電力の強制買い取りという方法に原因しているのですから、この方法を、見直すべきではないかと思うのです。

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