時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

風力発電―早大への賠償命令からのシグナル

 福島第1発電所原発事故が発生して以来、内外から脱原発を求める声が上がっています。海外では、ドイツに続きスイスでも脱原発を決定し、イタリアでは、近日、是非を問う国民投票が予定されているそうです。代替エネルギーとしての自然エネルギーに期待が集まる半面、昨日、最高裁判所が発電にして下した決定は、自然エネルギー政策の先走りのリスクを警告しています。

 この事件は、つくば市が、3億円を投じて風車を設置したところ、計画通りには発電せず、損害を受けたとして、早大などに対して市側が損害賠償を求めた、というものです。二審判決では、早大に対して9000万円の損害賠償の支払いを命じると共に、市側にも、計画を鵜呑みにした責任を認めたそうです。今回の最高裁での決定は、つくば市早大の双方の上告を退けるというものであり、二審の判決が確定することになりました。現在、地方自治体は、太陽光発電を始めとして、自然エネルギーの導入を積極的に進めていますが、採算性や発電効率を正確に把握しませんと、この事件と同じ轍を踏む可能性があります。

 こうした現実を考慮しますと、自然エネルギー促進策とは、あわてて導入を急ぐことではなく、ブレーク・スルーとなるような技術革新を実現するための、研究・技術開発への投資なのではないかと思うのです。スローガンばかりが先行する脱原発論には、危惧を抱かざるを得ないのです。

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