時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

自然エネルギー全量買い取り制度は産業の衰退を招く

 昨日、菅首相は、退陣を前に、自然エネルギーの全量買い取り制度を設ける法案を、ぜひにも可決させたい、と発言したようです。実際に、この法案は、閣議決定されており、通常国会にも提出されています。しかしながら、このプラン、どう考えましても、我が国にとりましてプラスになるとは思えないのです。

 そもそも、低レベルの技術段階で、自然エネルギーが普及するとしますと、それは、エネルギーコストのさらなる上昇をもたらします。現在の太陽光発電買い取り制度は、家庭用の発電機を対象としており、あくまでも、余剰電力の買い取りです。しかしながら、自然エネルギーの全量買い取りとなりますと、大規模太陽光発電所のように、事業者が大量に発電する電力をも買い取らなくてはならなくなるのです。つまり、電力料金は、国民負担という形で、大幅に上昇することになります。買い取りが義務化されていますので、事業者間のコスト競争も技術・開発競争も働かなくなり、補助金漬の巨大な非生産的な産業が出現してしまうのです。

 電力料金の上昇は、製造拠点としての競争力をも喪失させますし、産業の衰退を招くことになります。国会では、この法案のリスクを十分に議論し、我が国の産業と国民生活のために、否決していただきたいと思うのです。

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