時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

菅首相の首相失格を露呈した電力情報の開示要求

 菅首相は、経済産業省に対する不信感から、電力需給に関する重要な情報を全て開示するよう、異例の支持を出したと報じられています。この記事、実のところ、如何にいい加減に首相が脱原発路線を表明したのかを、よく現わしていると思うのです。

 改めて情報の開示を求めたということは、菅首相は、何らの対策を準備することもなく、脱原発の指針を発表し、かつ、停止中の原発の再稼働の流れをストップさせたことを示しています。今になって、埋蔵電力を言い出していることは、首相が、公表データによって電力不足を認識していたか、あるいは、全くデータも確認せずに判断した証拠でもあるのです。つまり、産業を崩壊させ、国際競争から脱落しようが、職を失う人々が続出しようが、国民生活が低下しようが、何もかもお構いなく、”個人的な思い”で深刻な電力不足を招いたことになります。こうした行為は、首相としてあまりに無責任ですし、政治家としての適性も疑わざるを得ません。

 埋蔵電力とされる揚水発電は、夜間に原発の電力を使っていたとされていますし、計上されていないとする太陽光発電は微々たるもののようです。また、民間企業の自家発電も、あくまで自社用、あるいは、停電時の緊急用のものが多く、長期的な安定電力供給源になりそうにありません。また、たとえ電力が足りたとしても、企業や国民のコスト負担の増加は避けられません。後から慌てて自己正当化のためにデータを求める菅首相の姿は、国を滅ぼした愚かで傲慢な暴君と重なるのです。

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