時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

脱原発の住民投票―都には権限がない

 脱原発を訴える人々は、原発の是非を問う都民投票の実施を訴えるべく、著名活動を行うそうです。しかしながら、この問題、そもそも都には、他の都道府県における原発設置に関する決定権がないのですから、あまり意味がないのではないかと思うのです。

 この運動、有権者の50分の1の署名を集めて、都に対して住民投票条例の制定と脱原発住民投票の実施を求めることを目的としているようです。しかしながら、要求どおりに住民投票条例が成立し、都レベルで”脱原発条例”を制定してもその効力は、都内に留まります(そもそも都内に原発は設置されていない・・・)。また、都民の判断と区の住民の判断が異なることもあるわけですから、都レベルの条例の効力が、区レベルの判断を否定することができるのか、という問題もあります(この問題は、道府県でも起こり得る…)。少なくとも、都の条例の効力は他には及ばず、現在、他の地方自治体に設置されている原発を廃止することはできないのです。

 このことを考えますと、住民投票条例自体は望ましいものであるのかもしれませんが、脱原発を目的とした住民投票運動には、無理があるようです。むしろ、”脱原発原理主義”の押し付けよりも、経済や国民生活をも考慮した、合意形成の仕組みを考えるべきなのではないかと思うのです。

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