時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ダライ・ラマ14世の記者会見に思う

 来日しておりましたチベットダライ・ラマ14世は、東日本大震災で深く傷ついた被災地を訪問され、犠牲になられた方々の慰霊のために法要をなさってくださったそうです。この訪問により、東北の方々の心は、どれほど、慰められたことでしょうか。

 ところで、この訪問に際して、ダライ・ラマ14世は、都内で記者会見を開いたそうです。その際に、記者から”人間にも動物にも、放射能に脅かされずに生きる権利があるのではないか”との質問があったと報じられています。この質問をした記者は、おそらく、法王から肯定的な返答、つまり、脱原発への賛意を引き出したかったのでしょう。しかしながら、法王は、原発について、脱原発派や反原発派の人々よりも、はるかに現実を見つめた回答をなさったのです。脱原発を進めると、途上国の電力は不足し、先進国との間に貧富の差が広がってしまうと。この回答は、質問者にとりましては、予想外であったかもしれません。

 結果として、核の平和利用が容認されたことになったのですが、遠路をはるばる日本国にいらしたダライ・ラマ14世に対して、マスコミが、脱原発のために”政治利用”を試みたとしますと、これは、大変、礼を失することなのではないかと思うのです。

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