時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

菅前首相の闇―政党と政治団体の関係の議論を

 昨年、菅前首相の資金管理団体が、北朝鮮系の政治団体に多額の寄付を行っていたことが発覚し、大問題となりました。この事件から疑問に思うことは、政党と政治団体の関係は、一体、どうなっているのか、ということです。

 調べてみたところ、政党もそれ以外の政治団体も、共に広義には政治団体に含まれており、両者を区別するのは、公職選挙法政治資金規正法、政党助成法による政党要件を満たしているか、否か、にあるそうです。これらの3法律による定義は微妙に違ってはいるものの、政党とは、およそ、1.所属する衆議院議員または参議院議員を5人以上有するもの 、2.前回の衆議院議員総選挙、前回または前々回の参議院議員通常選挙のいずれかにおいて、全国を通じた得票率が2%以上であるもの、をさします。つまり、法律上の要件さえ充たせば、政治団体から政党へも昇格できるのであり、法律上の立場は、必ずしも、固定的ではないのです。一方、政党助成金は、要件を充たしている政党のみに支給されます。それでは、政党が受け取った助成金を、他の政治団体横流しにすることは、許されるのでしょうか。もし、許されるとすれば、実質的には、国民が選んでもいない特定の政治団体の手に、国民の納めた税金が渡ることになります。

 菅前首相の事件は、マネーロンダリングの如くに、政党助成金が、合法的に特定の政治団体に流れてしまうことを示しています。既存の政党に対する国民の不信感は、こうした政党の陰に隠れて活動する怪しげな政治団体を正確に把握できないことにもあるのではないでしょうか。隠されてきた政党、あるいは、政治家と政治団体の関係を表に出し、その対応策として規制を設けることは、国民のための政党への第一歩ではないかと思うのです。

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