時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

東大は国際ランキング至上主義か

 昨日、東大のワーキング・グループが、秋入学に全面移行する素案を公表したことから、本日の新聞等では、その賛否に関する記事が掲載されていました。マスコミは、おおむね支持しているようですが、果たして、この改革案、大丈夫なのでしょうか。

 秋学期に移行する理由は、入学時期を国際標準に合わせ、留学生の数を増やすことにあります。学部における東大の海外からの留学生の比率は、現在、1.9%ほどに留まっており、その改善がなければ、現在30位ほどにある東大の国際競争力がアップしないとする危機感があるそうです。しかしながら、新入生に対しては、半年の期間を、受験勉強で染みついた偏差値至上主義から抜け出すためにボランティアや留学をせよと薦めながら、当の東大側は、国際ランキングに拘っているとしますと、どこか、ちぐはぐです。そもそも、留学生率が低いのは、日本語という壁があるからであり、秋入学に移行したところで、飛躍的に留学生数が増えるとも思えません(もっとも、英語による講義に変えても、日本の学生にはハンディを負わせる…)。

 もしかしますと、この東大の改革案こそ、官僚主義的でもあり、東大の弊害の象徴かもしれません。グローバル化の要請に応えながら、受験生にも、企業にも、そして、大学や日本の学術レベルの向上にも貢献するような妙案を提起すれば、”さすが東大”と称賛されると思うのです。

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