時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

平清盛はヒーローか―視聴率低迷

NHKが一生懸命に宣伝しても、大河ドラマ、『平清盛』の視聴率は、低下傾向に歯止めがかからないようです(2月5日は東西ともに16%に低下…)。この低迷の原因の一つは、やはり、国民の多くが、このドラマに”歴史の捏造”と心情的な”違和感”を感じ取っているからなのではないでしょうか。

 NHKは、斬新さを打ち出すために、清盛を、瀬戸内海の海賊を討伐し、世直しを断行したヒーローに描きたいようです。しかしながら、平家の栄華を支えたのは、日宋貿易の独占であり、しかも、自身が、密貿易に関わっていたともされています。つまり、人々のために海賊を討伐したのではなく、民間の貿易船を力ずくで排除し、貿易権を独占したのが清盛であったことになります。しかも、自らの貿易拠点であった福原に都を移したのですから、国家を”私した”と批判されるのも致し方ありません。

 歴史の常で、清盛の悪評は、勝者である源氏が敗者の平家を殊更に貶めたため、とする説もあります。しかしながら、『平家物語』には、滅びた平家を、悪者として徹底的に叩くのではなく、その悲惨な運命をどこかで憐れむ心がつづられております。NHKは、歴史を捏造して、この日本人の古来の感覚を壊したことに、視聴率低迷の原因があると思うのです。

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