時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

橋下大阪市長とヒトラーの違い

 昨日のブログ記事では、橋下大阪市長ヒトラーとの共通点について指摘したのですが、本日は、両者の利害について触れてみたいと思います。橋下市長もヒトラーも、右翼の位置にありながら、独裁と革新志向という点において共通しています。その一方で、両者の間には、以下に述べるような相違点があるようです。

 第一に、ヒトラーは、ドイツ民族を礼賛し、ドイツ人優遇政策を遂行しましたが、橋下市長は、日本人を特別に扱うことはせず、むしろ、マイノリティー優遇策を推し進めています。大阪には、在日韓国・朝鮮人も多数居住しており、かつ、外国人党員の多い公明党との協力関係がありますので、一般の日本人に対してナショナリズムに訴えることがないのです。この点において、ヒトラーのようには、国民を一致団結させることができないと予測されます。

 第二に、ヒトラーは、ユダヤ人から財産を没収し、周辺諸国の国民に強制労働を強いることで、ドイツ経済を立て直しました。ヒトラーの経済政策の手腕を評価する意見もありますが、その実態は、略奪経済であり、異民族から奪った富を自国民にばらまきました。一方、橋下市長の場合には、貯蓄税や掛け捨て年金案にも見られるように、一般の日本人から富を奪い、自己の支持基盤に厚く配分しようとしています。奪う対象が、ヒトラーと橋下市長では、およそ逆なのです。

 第三に、ヒトラーは、エネルギー資源の重要性を理解しており、それが戦争目的であれ、第二次世界大戦に突入する以前から、資源確保を目的とした行動をとっています。一方、橋下市長は、脱・反原発政策からも分かるように、大阪の産業基盤を疲弊させような政策を打ち上げています。

 共産党の志位委員長は、橋下市長をヒトラーに譬えて危険視しましたが、両者の違いを考えますと、橋下市長は、歴史において、ヒトラーと同様の役回りを演じることはないのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

<a href="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</a>