時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

橋下大阪市長は右翼なのか

 共産党の志位委員長が、大阪氏の橋下市長をヒトラーになぞらえて批判したと報じられています。共産主義一党独裁容認ですので、独裁批判は自己批判でもあると思うのですが、果たして、橋下氏は、右翼なのでしょうか。

 右翼を正確に定義することは難しいのですが、語源としては、フランス革命期の国民議会において、保守系の議員達が右側の席にに陣取ったことから、右翼・右派と左翼・左派という言葉が誕生したそうです。現在では、政治信条において、国益尊重、歴史・伝統重視、現実主義、自己責任の重視…といった傾向をもつ人々を緩く括って右翼と表現されることがありますが、その一方で、右翼団体というような場合には、全く別の集団と考えられています(皇室崇敬を掲げながら、実は、外国人が多数を占める…)。前者のカテゴリーに当て嵌めてみますと、大阪維新の会は、確かに、”維新”という看板を掲げている点で、歴史・伝統を引き継いでいるように見えますが、それは名だけに過ぎないかもしれません。しかも、維新の革命性を強調しているのですから、この点においても、革新性、つまり左翼的な要素を抱えているのです。また、維新の会の「船中八策」を読んでみますと、自己責任の重視を除いては、強い改革志向が前面に押し出されています(現実的とは言えない政策も…)。ヒトラーは、ドイツ民族を神聖化しながら、ドイツの伝統的な制度や慣習には冷淡であり(むしろ破壊的であった…)、右翼としては異端者でもありました。ヒトラーと橋下氏との共通性とは、まさに、ナチス、すなわち国家社会主義という名が表すように、右翼の仮面を被った左翼であることにあるのではないでしょうか。

 中東諸国では、国民が自ら体制に異議を唱え、相次いで独裁者を葬り去り、民主化の方向へと向かいました。一方、東アジアにおいて、”中東の春”に逆行するかのように、一部ではあれ、独裁願望が湧き上がっている現状はどこか不自然です。この現象は、背景を含めて、冷静に見極めなければならないと思うのです。

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