時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

火力発電所売却案―電力会社弱体化の行方

 マスコミの報道などによりますと、電力会社の改革案として、電力会社の火力施設の売却や新規参入が提案されているそうです。

 仮に、原発の再稼働ができないとなりますと、当面、発電比率の相当部分、おそらく、90%以上を火力に頼らざるを得なくなります。現在の原発に代替して稼働させている火力発電所は、原発のバックアップとして旧式の発電施設を温存させてきたものであり、発電効率は悪く、故障の心配もあるそうです。新式に建て替えようにも、原発の稼働停止状態では経営は悪化している状態では、設備投資を行う余力もありません。そこで、火力の売却案や新規参入案があるのでしょうが、発電の大半を占める火力を売却したのでは、電力会社には、発電施設は残らないことになります。つまり、既存の電力会社は、発送分離の上で、送電会社となるか、あるいは、電力事業を大幅に縮小せざるを得なくなるのです。原発を再稼働させないということは、電力会社が、急速に弱体化することを意味します。

 先端的な発電技術の導入した火力部門の新規参入は増えるのでしょうが、この先、我が国の電力事業は、どのような運命を辿るのでしょうか。電力事業の国際競争力をも視野に入れつつ(弱体化した電力会社は資金力のある外国の事業者に呑みこまれる可能性も…)、安定供給と安価な電力に向けて、適切な方向性を見出しませんと、我が国の電力事情は、悪化の一途を辿るのではないかと思うのです。

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