時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

オリンピック開会式―ミスター・ビーンの痛烈な風刺

 ロンドン・オリンピックでは、イギリス出身の世界的コメディアンとして知られるミスター・ビーンも登場し、会場を盛り上げたと伝えられています。ミスター・ビーンの持ち味は、本音を風刺することにあるそうなのですが、今回の演出もまた、痛烈な皮肉が込められていると思うのです。

 当日のLIVEの実況中継は、日本時間では夜中となりますので、YouTubeの映像で見たのですが、どうやら今回の開会式でのテーマは、”偽物””ズル””自己顕示欲”を嘲笑することにあるようです。ビーン演じる著名な演奏家は、スポットライトを浴びて主役の座で演奏しながら、実は、キーボードを叩いているだけであり、実際の奏者は別にいます。主役の偽物演奏者(ミスター・ビーン)は、スマートフォンを弄んだり(サムスン製のGALLAXYであるところがみそ!)、実際の演奏者に、鼻をかんだ紙を投げるといった意地悪をするのです。そして、最後は、演奏途中で眠ってしまい、夢の中でアスリートの走者となったビーンが、途中で自動車に乗ったり、先頭を走る人を転ばせるといった不正な手段で勝利者になり、悦に入るというシーンで終わっています(思い出しましたが、その後、目を覚ましたビーンが、演奏がオケと合わなくなって慌てるというシーンがありました)。実のところ、その後、オリンピックでは、審判問題などが多発したのですから、不正問題を、あたかも予言したかのような演出なのです。

 開会式でのミスター・ビーンの演出、心から笑える人と、風刺に気付かずに笑う人と、そして、笑いが引きつる人がいたのではないかと、密かに思うのです。ポール・マッカートニーが、口ぱくを拒否して、頑なに生演奏を貫いた背景には、案外、この演出があったのかもしれせん。

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