時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ミスター・ビーンの出演―コメディアンが表現したフェア・プレーの精神

 ロンドン・オリンピックの開会式で見せたミスター・ビーンのコメディー。実のところ、オリンピックの大舞台で、スポーツにおける不正問題に切り込んだ、金メダルに値する画期的な出来事ではなかったかと思うのです。

 これまで、オリンピックやワールド・カップといったスポーツの国際大会では、しばしば、審判の買収や八百長などの不正事件が噂されてきました。選手のドーピングには、比較的厳しく対処しているのですが、組織の内部が関与する事件については、充分な捜査もされず、ほとんどが有耶無耶にされてきたのです。ましてや、国際組織ともなりますと、警察権力は及び難く、不正や腐敗は見逃されがちです。疑惑の判定や試合を数えますと限がありません。こうしたスポーツを取り巻く劣悪な環境に対しては、誰もが、是正すべきと認識はしていながら、表立って糾弾するこはありませんでした。ところが、ミスター・ビーンは、この超難易度の離れ業を、いとも簡単に開会式でやってのけたのです。コメディーとして。

 あのコメディーを見てしまいますと、誰もが、不正というものに敏感になります(もっとも、それでも、今大会では、疑惑の判定はありましたが…)。不正行為をちゃかして笑いを取ることで、裏側からフェア・プレーの精神の尊さに光を当てた見事な演出に、脱帽せざるを得なかったのです。

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