時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

自民党圧勝は民意ではない?-決選投票を想定してみると

 選挙結果が判明した途端、議席獲得数と獲得投票数との比較から、民主党の圧勝は、民意ではないとする主張が、マスコミを中心に湧き起こっているようです。しかしながら、決選投票を想定しますと、そうでもないと思うのです。

 議院内閣制では、政権の選択と、議会における多様性の反映とを、選挙によって同時に実現することは困難です。もとより多様性の乏しい二大政党制であれは、前者の選択を軸に有権者が投票しますので、この問題は、それほど深刻ではありません。しかしながら、日本国では、12もの政党が政界にひしめき合っており、小選挙区では、相対多数、すなわち、最も得票率が高い政党が獲得することになります。つまり、当選者の大半は、過半数=絶対多数を下回る得票数での当選となるのです。大量の死票が生じ、多様性が反映されないことから批判を受けることにもなりますが、その一方で、比例代表区の結果の方が望ましいとしますと(もちろん、バランスをとるために、比例区では、非自民党の政党に投票した国民も多かったはず…)、小党乱立の結果では、複数の政党による連立が模索され、政府を形成することが極めて困難となります。今度は、国民の政権の選択が曖昧となり、不安定要因ともなります。そこで、大統領制などでは、絶対多数を形成するために、上位二名による決選投票が行われるといった工夫がなされていますが、仮に、比例区での結果に基づいて、決選投票が行われたとしますと(一先ず、非自民政党へのバランス投票は無視して…)、第一位は自民党、第二位は日本維新の会となります。両党による決選投票の結果は、やはり、自民党が、絶対多数の過半数を制し、政権与党に返り咲いたのではないかと思うのです。

 もちろん、現行の制度には欠陥がありますので、今後、抜本的な改革は必要ではあります。しかしながら、絶対多数形成のための絞り込み、というプロセスを想定しますと、今回の結果は、それほど民意からかけ離れてはいないように思うのです。

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