時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

パソナ疑惑の深刻さ-警察は徹底した捜査を

 芸能人が麻薬容疑で逮捕されたことから、人材派遣業の大手であるパソナに対する疑惑が報じられるようになりました。この問題、実のところ、刑事事件に留まらず、日本国を揺るがしかねない事件に発展しそうな気配がするのです。
 
 報道によりますと、逮捕された芸能人とその知人は、パソナの迎賓館とされる元麻布の”仁風林”なる場所でであったそうです。ここで首を傾げるのは、そもそも、接待用とはいえ、一企業が政財界や芸能人を招待するために豪華な施設を保有していることです。神奈川県知事がパソナ随意契約を結んだことに対する批判は、先日の記事で取り上げましたが、実は、神奈川県のみならず、大阪府といった地方自治体との契約もあるそうです。未確認なのですが、国家公務員の再就職の斡旋-人材バンク-に関しても、パソナとの契約があるとの情報もあります。こうした国や地方との癒着を考えますと、”仁風林”は、政治家に利益誘導を依頼する場所であった疑いが濃厚なのです。そして、この癒着は、日本国の”パソナ支配”を招く恐れがあります。仮に、公務員の再就職がパソナの斡旋となりますと、官公庁の官僚は、パソナの顔色を窺うようになるかもしれません。官僚に対して、パソナは、人事院よりも強い影響力を持つ可能性があるのです。また、一般の民間企業も、パソナを介さなければ人材を集めることができなくなり、採用の自由や人事権の一端を奪われる格好になります。そして、こうした仕組みによって被害を被るのは、常に一般の日本国民なのです。
 
 当事件に関連して、パソナ追求の報道が少ないのは、既に”仁風林”の効果なのかもしれません。そうであるならばなおさらのこと、政財官の腐敗を防ぐためにも、警察には、徹底した捜査をお願いしたいと思うのです。
 
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