日本国にも忍び寄る”香港化”の影
香港の行政長官の選挙改革案は、民主国家に対する中国の基本的な戦略をよく表しています。平たく言えば、”人事権を掌握せよ”ということなのかもしれません。
民主的な選挙制度における選挙権とは、国民が統治組織の人事上の権利を持つことを意味しています。民主主義の根幹が普通選挙の実施にあると称されるのも、統治に関わる政治家の人選こそ、国の命運を左右する重大事項であるからです。ところが、中国が香港で試みた手法とは、この国民の人事に関する権利を、事前に奪ってしまおう、というものです。制度を変えて、中国の息のかかった候補者しか立候補できなくすれば、香港住民の権利を、合法的に”無効化”することができるからです。しばしば、”組織の乗っ取り”が取り沙汰されますが、その大半は、人事権の掌握によるものです。
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