時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日本国にも忍び寄る”香港化”の影

 香港の行政長官の選挙改革案は、民主国家に対する中国の基本的な戦略をよく表しています。平たく言えば、”人事権を掌握せよ”ということなのかもしれません。
 
 民主的な選挙制度における選挙権とは、国民が統治組織の人事上の権利を持つことを意味しています。民主主義の根幹が普通選挙の実施にあると称されるのも、統治に関わる政治家の人選こそ、国の命運を左右する重大事項であるからです。ところが、中国が香港で試みた手法とは、この国民の人事に関する権利を、事前に奪ってしまおう、というものです。制度を変えて、中国の息のかかった候補者しか立候補できなくすれば、香港住民の権利を、合法的に”無効化”することができるからです。しばしば、”組織の乗っ取り”が取り沙汰されますが、その大半は、人事権の掌握によるものです。
 
 この点に鑑みますと、今般の内閣改造の顔ぶれに親中派とされる政治家が見られることは、警戒すべきことかもしれません。何時の間にか、日本国民の参政権が失われることになるかもしれないのですから。
 
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