時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

東京ガスと韓国ガス公社提携への疑問

 本日、東京ガス韓国ガス公社が、LNGの相互融通や共同調達について提携を結んだとのニュースが報じられました。交渉力を強化することで価格の引き下げを狙うそうですが、この提携には、疑問を抱かざるを得ません。
 
 ガス供給設備を要するガス事業は独占事業となり易いため、韓国では、上記の社名が示すように公社形態が採用されているようです(故に調達規模が大きい…)。民間事業形態を採る日本国でも、エネルギー市場の自由化が検討されてはいるものの、ガス事業に限っては、消費者が他の事業者を選択することはできません。いわば、公共サービス事業の一種なのですが、こうした公共性の高い事業者が、敢えて外国の公社と提携するには、消費者を納得させるだけの根拠が必要です。相互融通であれば、国内の他のガス事業者との提携の方がコストは割安、かつ、距離が近いだけ融通も円滑なはずですし、価格交渉力をアップさせるのであれば、日本国のガス事業者が団結する方が、よほど効果的です。規模の小さなガス事業者が結集した方が、規模の効果の効用は高いのですから。一方、韓国では、”用日論”が唱えられているように、日本国に韓国がすり寄る場合、およそ”日本国を利用できる”場合に限られます。提携に際しては、”相互性”が強調されているものの、日韓提携では、日本側の一方的な負担となるケースは珍しくありません。韓国経済が傾く中、東京ガスが”連帯保証人”の役割を担わされるとしますと、日本国の消費者が負担を強いられる可能性もあります(あるいは、株主訴訟が起こされる可能性も…)。
 
 東京ガスを利用する消費者を納得させるには、最低限、提携効果としてガス代の値下げを実現する必要がありますが、それでも、韓国相手の提携にはカントリー・リスクが付きまといます。仮に、日韓ガス会社の提携の背後に、政治意図や何らかの勢力が動いているとしますと、この提携、いよいよもって怪しいのではないかと思うのです。
 
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