時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国立大学のAO・推薦入試拡大への疑問

  報道によりますと、国立大学協会がまとめた改革プランでは、AO・推薦入試の枠を3割程度に拡大するそうです。この計画プランは、学力テスト一辺倒ではなく、多様な人材を集めたい、ということなのでしょうが、疑問が無いわけではありません。

 私立大学では、既にAO・推薦入学の弊害が顕在化しており、見直し論の段階にあります。国立大学は、周回遅れで私立大学の”改革”を後追いしているのですが、一般的には、失敗の繰り返しは避けるものです。となりますと、国立大学は、学力の低下という問題への対策を講じた上でこの方法を採用しないことには、国民の納得が得られないことでしょう。また、推薦と言う方法は、必然的に”推薦者の権限”が発生することを意味しています。最悪の場合には、教職員の間で賄賂が蔓延り、国立大学でありながら、公平性を著しく損なう可能性も否定はできません。また、生徒の中に、推薦枠を得るために教師に媚びる風潮が生まれることも懸念されます。

 大学改革が、学力を含めた能力の向上を目指すならば、この後追い改革案では、逆方向を向いているように思えます。否、国立大学協会では、国民の多くが、”これなら効果が期待できる!”と確信できるような、入試制度のイノヴェーションを示してい頂きたいと思うのです。

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