時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

熊本城修復を復興のシンボルに

 気象庁によりますと、熊本地震は、未だに収まる気配が見えないそうです。今夜からは大雨も予報されており、被災地での被害拡大が心配されるところです。

 地震の被害は文化財にも及んでおり、日本三大名城の一つとして優美な姿を誇っていた熊本城も、修復に最大20年もの年月がかかるほどの甚大な被害を受けております。石垣は崩れ、屋根瓦は剥げ落ち、鯱ほこは消え失せ、櫓の多くも倒壊しました。災害に際しては、人命救助が最優先であり、かつ、生活や経済復興を急ぐべきことには異論はありません。その一方で、痛々しい姿を晒している熊本城の早期修復もまた、熊本の方々を勇気づけるのではないかと思うのです。ネット上には、熊本城の修復は後回しにすべきとする意見も見られます。しかしながら、熊本城は、築城以来今日に至るまで、幾たびかの戦乱をくぐり抜けつつ熊本を見護ってきた歴史の生き証人でもあります。熊本の方々にとりましては、故郷の誇りであると共に、心のよすがともなってきたことでしょう。

 再び熊本城が晴れ渡った青空に聳える時、熊本の方々は、地震からの復興を実感すると共に、満身創痍から立ち直った不屈の姿に、生きる意欲を新にするかもしれません。熊本城の築城には、足掛け15年の歳月を要しておりますが、現代の技術を以ってすれば、熊本城修復は、それ程遠くない日に実現する可能性もあります。熊本城の修復は、復興のシンボルともなるのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。