時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

高すぎる供託金は制限選挙では?-憲法違反の疑い

 選挙制度につきましては、マスコミは、”一票の格差”については憲法違反として熱心に追及し、意図的にか、国民の関心を選挙権の平等に向けております。しかしながら、参政権に関する不平等性は、被選挙権の方が遥かに深刻です。

 例えば、選挙に際して候補者が納める供託金は、落選すると没収されます。この供託金制度は、売名行為や”冷やかし”による立候補を防止する効果があるとして、正当化されております。つまり、”然るべき財産を保有する者でなければ、政治家に立候補すべきではない”という前提に立脚しているのです。諸外国と比較しましても、日本国の供託金は飛びぬけて高額とされており、極めて制限的です。仮に、政治家の適性を配慮して制限を設けることができるならば、財産、即ち、供託金負担能力のみならず、知力、学歴、資格、あるいは、経歴などを基準に制限を設けることも許されるはずです。供託金制度を設けても、一向に、政治家の質が向上していないところを見ますと、むしろ、後者の制限の方が、余程政治家のレベルのアップには貢献するかもしれません。何れにしましても、議員及び選挙人の資格を定めた憲法第44条からしますと、少なくとも現行の供託金制度は、財産と収入による差別として憲法違反となるのではないでしょうか。

 広く国民から政治的能力の高い人材を選抜できる制度を構築しないことには、日本国の将来も危うくなります。まずは、実質的に制限選挙となる制度は、廃止すべきではないかと思うのです。

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