時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ソフトバンクに日本の農地市場が掌握される?

 本日、日経新聞を読んでおりましたところ、ソフトバンクが”農地支援”に参入するとの記事が目に入りました。この記事から読み取れるのは、日本国の農地市場が、一民間企業に掌握されてしまうリスクです。

 ソフトバンクが、マイファームと共同出資で8月に開始する事業とは、農地の検索サイトです。現在、日本国内の農地の凡そ1割が遊休農地となっているそうですが、これらの遊休地に関する情報を、農地取得希望者に提供するというものです。全国の遊休農地を中心に200万件を超える情報を収集して掲載し、基本情報を無料で提供する一方で、土壌に関する詳細な情報などは有料とするそうです。このシステム、まず、疑問となるのは、その200万件の情報をどこから入手するのか、ということです。所有者から報酬を支払って情報を獲得するのかもしれませんが、国から情報を得るとしますと、明らかに特定企業への便宜供与となります。また、農地売買に際して、必ずソフトバンクが提供する情報を要するとしますと、この事業は独占事業となりかねません。そもそも、遊休地の土壌情報をソフトバンクが有料で提供すること自体、奇妙なお話です。通常、農地を売りに出す側の情報開示は、買い手に対する義務なのではないでしょうか。少なくとも、遊休地は、国の減反政策の結果ですので、農地の集約化の方針にも反しています。また、北海道で既に問題視されているように、中国資本による水源や農地の買い取りが進んでおり、この状態で当事業を開始しますと、外国資本による農地買収がさらに深刻化すると共に、日本国の農地情報が中国側に筒抜けともなりかねません。
 
 ソフトバンク日本国政府との癒着は、民主党の菅政権から目に余るものがあり、露骨な利益誘導が批判されてきました。今般の新事業も、政府がお墨付きを与えているとしますと、日本の農政は、一体、誰のためにあるのか疑わざるを得ません。こうした独占性が強く、かつ、日本国の農地市場の掌握に繋がりかねない事業に対して、日本国政府は、許可を与えるべきではないと思うのです。

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