時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

民主的選挙とは国民が人事の採用担当になること

 今日の民主的選挙では、国民は、政権や政策など、政治に関する様々な事柄を選挙で決定しなければなりません。現代選挙の多面性も然ることながら、基本的には政治家選びであることを考えますと、民主的選挙とは、まずもって、国民が人事の採用担当になることに他なりません。

 民主的選挙を政治家の採用制度と見なしますと、現行の選挙制度の欠点も見えてきます。例えば、今日の国民は、一般の企業などの採用担当者が入手し得る情報よりも、候補者について僅かな情報しか手にすることができません。履歴書の方が、よほど情報量があります。また、本人と直接に顔合わせて人物評価を行う面接もありませんし、況してや、就職試験もありませんので、その能力や資質については未知数です。また、アメリカ大統領選挙は、長期間にわたる選挙戦故に、遊説やテレビ討論などを通して人物像が凡そ分かりますが、日本国の選挙運動期間は、参議院議員選挙であれ、都知事選挙であれ、何れも20日を切っています。立候補から投票までの期間が短か過ぎますので、有権者が、候補者について十分に情報を集め、じっくりと吟味する時間が足りないのです。

 舛添氏の都知事辞任事件が示しますように、人を選ぶ人事制度としての欠陥にこそ、当選してから不祥事を起こす政治家が後を絶たない原因があるのかもしれません。こうした状況を改善するためには、公的な選挙にも、民間で培われた人事のノウハウを導入する、あるいは、優秀な政治家選出を実現する新たな仕組みを考案すべきなのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。