時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”癌検診100%受診”とは検診強制受診政策のこと

 東京都知事選への出馬を表明した鳥越俊太郎氏は、ようやく選挙公約として、”癌検診100%”を具体的な政策として挙げたそうです。しかしながら、この公約、よく考えてみますと、そら恐ろしい発想なのではないかと思うのです。

 鳥越氏は、過去に幾度か癌を患った経験があり、現在でも治療中とのことです。癌検診への関心の高さは、自らの個人的な理由に基づくのでしょうが、当選後に、この政策を実施しようとしますと、何らの自覚症状もない健康な人を含めて、全ての都民、あるいは、厚労省が定めた検診年齢以上の都民に対して、全ての種類の癌検診を強制する必要があります。その膨大な費用も然ることながら、政策を考案する段階で、この政策が、実現可能と見なしているとしますと、氏の判断力には疑いを抱かざるを得ません。受診の義務化や都による強制力の必要性を考えなかったのでしょうか。

 高度な医療設備による検診は健康に悪影響を及ぼすとする説を信じる人もおり、癌検診の受診とは、行政サイドが推奨しこそすれ、基本的には個人の選択と自己責任の問題でもあります。こうした都による検診強制受診政策を、都民が支持するとは思えないのです。

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