時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

鳥越候補―野党統一候補の試金石?

 東京都知事選は、自民党系候補として小池氏と増田氏が出馬する一方で、野党は、統一候補として鳥越氏を擁立しました。都知事選では、無党派層において既存政党離れも見られ、日本国でも、一種のトランプ現象が起きているようですが、この選挙は、野党にとりまして試金石ではなかったかと思うのです。

 何の試金石かと申しますと、民進、共産、社民、生活の野党4党が結束して統一候補を擁立すれば、どの程度選挙において効果を発揮し、どの程度戦えるのかを試すためのです。おそらく、マスコミやネット工作隊等を総動員すれば、民主党政権を成立させた時のように、世論を誘導できると考えたのでしょう。一般の社会とは逆に、マスコミは、野党系が優勢な業界です。野党統一候補として鳥越氏が選ばれたのも、氏がジャーナリスト、否、マスコミ人であり、この作戦に最も適した人物であったからと推測されます。しかしながら、蓋を開けてみますと、鳥越候補の支持は伸び悩んでおり、世論調査が正しければ、主要候補三人のうちで、最も支持率が低いようなのです。

 おそらく、低支持率の要因としては、鳥越氏の政治家としての資質に疑いがもたれていることもあるのでしょうが、野党4党の最小公倍数的な候補者であるため、各野党からも不支持者が出やすい上に、組織とは関係のない無党派層にとりましては、積極的に氏に一票を投じる動機がないのでしょう。しかも、週刊誌などでは、鳥越氏のスキャンダルが大々的に報じられており、一部マスコミからは見放されている観さえあります。

 最終的な評価は、都知事選の投票結果が出た後となりますが、これまでのところ、野党で統一候補を擁立するという方法は、逆に、野党の脆弱さを印象付けているように思えるのです。

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