時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

長野女児行方不明事件-”警察審査会”も必要では?

 先日、長野県で行方不明となった小学校1年生の女児が、川で遺体として発見されるという痛ましい事件がありました。マスコミも大きく報じたため、国民の関心を集めることとなりましたが、長野県警は、女児は誤って川に転落した可能性が高いとし、事件性を認めない方針のようです。

 この事件については、ネット上では事件性を疑う声が強く、長野県警に対する批判も聞かれます。何故ならば、常識的に考えれば、単なる事故とは見なし難いからです。特に川から1キロも離れた地点に残されていたサンダルは謎であり、事件性がないとすれば、女児は1キロもの道のりを川の方向に向かって裸足で山林を歩いたことになります。あるいは、サンダルが発見された現場近くの用水路に転落したとしても、警察は目立った外傷はない、と説明していますので、無傷で1キロ先の川まで流され、さらに下流まで運ばれたとは思えません。不自然な点ばかりなのです。事件性を疑われて当然なのですが、このまま警察が事件性を認めずに事故として処理するとしますと、犯罪が見逃されてしまう可能性も否定はできません。警察によって事件性が強く疑われるにも拘わらず、事故として処理される事例は他にもあるらしく、警察に対する国民の信頼も揺らぎます。

 検察の起訴判断については、検察審査会が既に設置されておりますが、警察の判断の誤りに対してチェックを行う機関は今のところ存在しておりません。今般の事件のように、国民の大多数が”事件性あり”と判断しても、警察が否定すればそのままなのです。そこで、こうした問題を解決するためには、警察の判断に疑いがある場合、再捜査を可能とする仕組みが必要なのではないでしょうか。検察審査会を模し、申し立てに基づき、任意の国民から選ばれた審査員が審議するスタイルでもよいでしょうし、再捜査の場合には、他の県警、あるいは、警視庁等に特別の捜査班を設けるといった方法も考えられます。警察が国民の信頼を取り戻すためにも、外部チェック強化に向けた警察のさらなる制度整備も必要なのではないかと思うのです。

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