時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

黒人至上主義はアラブ発?

今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。米国映画に『エデンの東East of Eden』(1955年)という有名な映画があります。この映画には、「アブラAbra」という名の女性が、準主人公として登場いたします。アブラは、ジェームズ・ディーン演じる主人公のケイレブ(愛称キャル)の兄であるアロンの婚約者という設定です。映画は、キャルによる実母探しと、父親からの愛情をめぐっての品行方正のアロンと、不品行のキャルとのライバル関係を軸に展開するのですが、アブラは、アロンの婚約者でありながら、弟のキャルの生き方に理解を示す女性という役柄で登場してくるのです(兄弟は、実母のケートCathyは品行方正の理想的な女性であったが既に亡くなっていると父親から聞かされていたが、実は生きており、本当は素行の悪い出自不明の流れ者であり、酒場を経営しているような女性)。
 
 さて、キリスト教世界である米国社会を描いた映画としては、「アブラ」という名前は奇妙であると、感じられたる方々も多いのではないでしょうか。そこで、「アブラ」という女性の名前は、どの民族が用いているのかと言いますと、「完璧な、豊満な女性」という意味のアラブの女性の名前であり、しかも、この名前を持つ女性をめぐる伝説がアラブにはあるのです。
 
 その伝説とは、『アンタラ物語』と称されているアラブ人と黒人奴隷女性との間に出生した混血児のアンタラAntarが、奴隷身分から戦士となることで身を興し、「アブラAbrah」という名のアラブ人女性と結婚するという実話にもとづくと推測される物語です。こうした伝説の存在に示唆されますように、アフリカ大陸に近いアラブには、奴隷貿易によって多くの黒人が流入していたようであり、黒人奴隷女性との間に子供をもうけたり、アラブ人女性と結婚した黒人混血奴隷も多かったようなのです。すなわち、アラブ人の中には、黒人奴隷の血を引く人々もあり、やがてアラブ社会では、こうした人々が、黒人至上主義を唱え始めたと推測することができます。
 
「アブラ」という女性名の背景から、『エデンの東』に登場する出自不明の女性のケートには黒人奴隷女性が含意され、キャルにはアンタラが含意されている可能性を指摘することができます。すなわち、準主人公の名前を「アブラ」と設定することで、『エデンの東』は、黒人問題を扱っていることを、秘かにその観覧者に伝えたと推測することができるのです。
 
イルミナティーを構成する「黒いユダヤ人」の起源がアフリカ系やアジア系の人々との混血にある点は、本ブログにて再三にわたり指摘したとおりであり、また、アラブとイルミナティーとの近い関係は、昨日、指摘いたしました。戦後、オイル・マネーの力とイルミナティーの暗躍によって、黒人至上主義は世界大に拡散されたと考えることができるのです。

 
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(続く)