時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ノートルダム大聖堂火災修復問題はフランスの分裂を顕在化させる?

今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。ここ数日にわたり、ノートルダム寺院の火災問題を扱い、19世紀になってから、キリスト教の消滅と人類の非文明化・動物化・家畜化を目指す思想であるイルミナティー思想(黒マリア信仰)を象徴する新たな部分がこの寺院には加えられていた点を指摘いたしました。
 
このことは、今般の火災事件における修復をめぐる計画案の立案段階におきまして、以下の3つのコンセプトの計画が、並立してくる可能性を示唆しております。
 
第一に考えられるのが、中世における創建時の姿に完全に戻すというオリジナル回帰計画案です。この案ですと、屋根の尖塔を創建時の高さに戻し、19世紀の人物をモデルとしていた福音史家と12使徒の彫像、そして、大聖堂に多数取り付けられている怪物群であるガーゴイルは、その多くは19世紀に行われた修復の際にヴィオレ・ル・デュックらが加えたものであるから、これらはすべて撤去するということになるでしょう。(ただし、鐘塔の基部の欄干からパリ市街を睥睨するように据えられたシメールあるいはグロテスクと呼ばれている悪魔のような像の問題は、この怪物像は雨樋の用を成しておらず、また、いつ取り付けられたのかが不明であるため、撤去するか否かは議論となるかもしれません)。反イルミナティー側のフランス人の多くは、このオリジナル回帰計画案を支持するかもしれません。
 
第二に、火災前の状態に戻すという火災前状態案もあります。この案ですと、19世紀につくられ、イルミナティー思想を象徴している新たな部分も修復されることになります。反イルミナティー側のフランス人は、この火災前状態案には反対するかもしれません。
 
第三に、AFPが「新しい屋根と尖塔(せんとう)のデザインを公募する計画を発表。マクロン氏は再建を5年で完了する目標を定め、「近代建築の要素も想像できる」と述べていた」と報じております。“修復”という名目で、ノートルダム大聖堂には大規模な変更がなされていますので、イルミナティー色が強くなる案が提起されてくかもしれません。マクロン大統領がイルミナティーのメンバーである可能性が高いことは、本ブログにて再三にわたり指摘しておりますが、やはりマクロン大統領は、大聖堂をイルミナティー風味のより強い別物としたいようです(屋根の尖塔や福音史家と12使徒の修復のみならず、聖堂全体を改築して、イルミナティーは、所謂「黒マリアの大聖堂」とする計画であるのかもしれません)。この現マクロン政権主導の案には、イルミナティー側の人々が大いに賛成することでしょう。その一方で、黄色いベスト運動の人々が、既に修復反対の反政府運動を始めておりますように、反イルミナティー側の人々は、イルミナティー色がこれ以上強まることに反対し、修復事業自体の中止を求めるかもしれません。
 
このように、ノートルダム大聖堂には、もとよりイルミナティー問題が絡んでいたために、さまざまな修復事業案の賛否をめぐって、誰がイルミナティー側であるのか、反イルミナティー側であるのかが、はっきりしてくる可能性があります。すなわち、
ノートルダム大聖堂火災修復問題は、フランスの分裂を顕在化させるのではないか、と推測されるのです。

 
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(続く)