時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

現代にも通じるローマの対エジプト戦争の発生理由

本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。米国映画『クレオパトラ』は、共和制ローマ側によるクレオパトラへの宣戦布告によって、なぜ対エジプト戦争が発生したのか、その理由も明確に描いているようです。
 
カエサルなき後、クレオパトラは、カエサルの腹心の部下であったアントニウスと同盟を結び、エジプトに渡ったアントニウスクレオパトラによってエジプトは統治されるようになります。そして、クレオパトラは、その配偶者となったアントニウスがローマの有力政治家であって、百戦錬磨の有能な将軍でもあるという立場を利用して、今度は武力を以って、共和制ローマ独裁制エジプトの国家統合を企てることになるのです(クレオパトラは、この目的のために300隻の軍艦を建造)。すなわち、カエサルの時は内部から政治力を以って、アントニウスの時は外部から武力を以ってクレオパトラは、ローマを手に入れようとしていたと推測することができます(クレオパトラは、悪知恵の働くことにおきましても、迷惑度が高いのでは)。
 
昨日、本ブログにて、「ローマの歴史に学びますと、特に民主主義国家側において大きな反対運動や内紛が発生する可能性があります。独裁国を含む地域の統合においては、民主主義国家側が独裁国化する可能性が高い」と述べました。紀元前1世紀という時代にあって、民主主義的国家は、曲がりなりにも独裁世襲制の禁止規定、選挙制度、そして議会を持つ共和制ローマ側であったことは、確かです。そして、なぜ、ローマ人が独裁世襲制を嫌ったのか、その理由は、古代にあって、一度、政体が独裁世襲制となりますと、内紛を経ずして共和制に戻すことは極めて困難であったからです。
 
これに加えて、征服者であったはずのローマ人が、逆に、エジプトのファラオによって支配されることになることは、到底容認できるものではありませんでした。ローマ人は、カエサリオン、もしくは、アントニウスクレオパトラとの間に出生していたヘリオスによって奴隷化されることを憂慮していたはずなのです。
 
従いまして、宣戦布告は、当然、ローマ側からクレオパトラに対して起こされることになりました。世界史上最も有名な海戦の一つとされるアクチィウムの戦いは、このようにして戦われました。仮に、アントニウスクレオパトラ連合が勝利していたといたしましたならば、ローマは占領され、ローマ人は皆奴隷化されたはずですので、ローマにとりましては、まさに、負けられない戦争であったと言えるでしょう。
 

 北朝鮮、韓国に加えて日本国をも含んだ「高麗連邦構想」なる謀略的計画が、統一教会イルミナティーの下部組織)によって進められているそうですが、ローマの歴史に学びますと、このような構想は、平和への道ではなく、戦争への道なのではないでしょうか。


 

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(続く)