時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ヒトラーの背後にイルミナティー?

 第二次世界大戦の謎をめぐりましては、ヨーロッパ戦線におきましても、多くの不可解な点を指摘することができます。

 

 その最たるものは、ヒトラーには、日本軍による真珠湾攻撃を理由として、米国に対して宣戦布告する必要は無かったことです。

 

 1941年6月22日、ドイツとイタリアは、対ソ宣戦布告を行います。同年8月には、ドイツの首都ベルリンは、ソ連空軍による空襲を初めて受けるようになり、11月には、ソ連側が反撃に出ることにもなりました。加えて、1941年6月当時の英国は、1941年3月には米国が武器貸与法を成立させて英国を支援する立場を明らかとしていたこともあり、独ナチス政権に対する抵抗を続けておりました。

 

 今日でも、軍事戦略の視点から、ヒトラーソ連邦侵攻は愚かであったとする説が多いように、ソ連邦へ戦線を拡大したことには補給の問題などから無理があり、真珠湾攻撃が行われる直前の1941年の秋には、ナチスドイツ政権は、劣勢に立っていたことになります。

 

 従いまして、こうした劣勢状態にあって、1941年12月7日に、日本軍による真珠湾攻撃があったことになります。12月10日にアドルフ・ヒトラーは軍部の反対を押し切って対米宣戦布告を行うのですが、よくよく考えてみますと、こうしたヒトラーの行動はやはり、常識や理性を逸脱した奇妙な行動であると考えられます。1940年に締結された『三国軍事同盟(日本國、獨逸國及伊太利國閒三國條約)』の内容は、

 

第一条 日本國ハ「ドイツ國」及「イタリヤ國」ノ歐州ニオケル新秩序建設ニ關シ、指導的地位ヲ認メ、且ツコレヲ尊重ス。

第二条 「ドイツ國」及「イタリヤ國」ハ、日本國ノ大東亞ニオケル新秩序建設ニ關シ、指導的地位ヲ認メ、且ツコレヲ尊重ス。

第三条 日本國、「ドイツ國」及「イタリヤ國」ハ、前記ノ方針ニ基ツク努力ニ附相互ニ協力スヘキ事ヲ約ス。更ニ三締結國中何レカ一國カ、現ニ歐州戰爭又ハ日支紛爭ニ參入シ居ラサル一國ニ依リ攻撃セラレタル時ハ、三國ハアラユル政治的經濟的及軍事的方法ニ依リ相互ニ援助スヘキ事ヲ約ス、

 

 であり、米国は、ヨーロッパ戦や日中間の紛争に軍事的には参入していない状態でありましたので、日本が真珠湾攻撃を行った際に、ヒトラーは、米国に宣戦布告する必要は無かったのです(1941年6月22日にドイツとイタリアが対ソ宣戦布告した際に、日本が対ソ宣戦布告していない理由も、第三条にある)。

 

 この点を考えますと、ヒトラーは明らかにドイツを敗戦に導くために、交戦権を恣意的に使ったと考えざるをえません。対米戦以降のドイツの惨状を踏まえますと、ヒトラーの目的は、戦争を長期化、激化させることによる人類の非文明化・動物化・家畜化にあると推測することができます。すなわち、ヒトラーは、イルミナティーのメンバーであったと仮定いたしますと、このような第二次世界大戦をめぐる不審点を説明することができるのです。

 

(続く)