時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

安全安心第一ならば東京オリンピックは中止か無観客開催では?

 今年の夏に開催予定の東京オリンピックは、3月には開催するのか否かが決定されるそうですが、新型コロナウイルス禍にあっての開催には、大きなリスクがあることは言うまでもありません。

 

 特に、ワクチン接種を進めた場合に、リスクはむしろ大きくなると推測することができます。その理由は、昨日指摘いたしましたようにワクチン関連疾患増悪(vaccine-associated enhanced disease, VAED)や抗体依存性増強(antibody-dependent enhancement, ADE)が懸念されることに加えて、変異ウイルスには効果が無い可能性もあるからです。一方、世界各地で変異ウイルスは報告されており、我が国の現在の検査体制では、こうした変異ウイルスの感染者の入国を防ぐことができず、出入国管理をすり抜けてしまうことは、国内におきましても既にイギリス・南アフリカ株の変異ウイルス患者が確認されていることにおきまして明らかです(体温による検査では、無症状患者や発病前の保菌者を認識できず、現在PCR検査でも、検査時と出国時の時間差によって正確に検査できない)。

 

 このことは、東京オリンピックを開催した場合、新型コロナウイルス感染者が入国してくる可能性が高いことを示しております。すなわち、新型コロナ問題が、開催期間中に発生し、競技の中止や会場の変更問題、医療機関の逼迫問題、そして被害補償問題が、日本政府と東京都の肩に重くのしかかってくることになるのです。これだけの問題に直面した場合、政府は対応できるのでしょうか。

 

 昨日、指摘いたしましたように、この時期、再度ワクチン接種しなければ医療従事者のワクチン効果は切れているはずであり、また、ワクチンを接種したが故に、むしろ感染による重症化を恐れて、医療従事者の方々が、医療放棄し始める可能性もあります。また、一般にもワクチン接種を拡大した場合、あらゆるオリンピック関連の業務におきまして職務放棄が起こる可能性もあります。

 

 東京オリンピックを開催しないことは、あたかも‘日本国の恥’であるかのようにおっしゃられる方々もおられますが、開催したが故の政府機能の不全の露呈と大混乱は、はるかに‘日本国の恥’です。安全安心を第一に考えますと、やはり東京オリンピックは中止、もしくは、無観客開催とすべきではないでしょうか。