時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

オリンピック通常開催の3つの条件

 東京オリンピックをめぐっては、中止、無観客、通常開催の3つの選択肢があり、そのいずれとも決定されていない混沌とした状況にあると言えるでしょう。では、従来どおりの通常開催には、どのような条件が必要でしょうか。

 

 1 全世界における新型コロナウイルスの完全終息

 2 短期・中期・長期的に、完全に安全・無害なワクチン、もしくは、治療薬の即時成功

 3 短期・中期・長期的に、完全に安全・無害なワクチンの来日者、並びに、日本国民全員の接種

  

 条件1の「全世界における新型コロナウイルスの完全終息」の設定事由は、ほぼ全世界の国々からの来日者があり、一か国からでも感染者が入国した場合に、長いオリンピック期間中に感染拡大が起こり得ることにあります。従いまして、日本国内のみならず、全世界の国々で感染者がゼロの状態でなければ、通常開催は困難であることになります。では、現時点、3月現在における状況はどうであるかと申しますと、世界的に感染収束にはほど遠い状況にあると言えるでしょう(むしろ様々な新たな変異株の出現が懸念されている)。

 

 条件2の「短期・中期・長期的に、完全に安全・無害なワクチン、もしくは、治療薬の即時成功」の設定事由は、日本国における国民皆接種(集団免疫)を目的としたワクチン計画のとん挫に示されますように、現在使用されている遺伝子ワクチンには、多くの問題点があることにあります。仮に、東京オリンピックまでに日本国民に集団免疫を形成させようとすれば、短期・中期・長期的に、完全に安全・無害な新たにワクチンを、即座に開発せねばならない状況にあるからです。では、現時点、3月における現状はどうであるかと申しますと、新薬の開発成功にはほど遠い状況にあり、特に、中長期的悪影響の方が、よほど問題であるのですから、7月までの短期・中期・長期的に、完全に安全・無害なワクチンの開発には無理であると言えるでしょう。また、治療薬や治療法につきましても同様であり、特効薬が開発されない限り、オリンピック期間中に感染拡大が発生した場合、医療体制は逼迫すると推測されます。

 

 条件3の「短期・中期・長期的に、完全に安全・無害なワクチンの来日者、並びに、日本国民全員の接種」は、条件2をクリアすることが無理でありましたならば、条件3をクリアすることも無理であると言うことができます。

 

 以上の3つの条件を勘案してみますと、東京オリンピックの通常開催は困難であるとする結論に達してしまうのですが、皆さまはどのようにお考えになるでしょうか