時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

何故か評価が逆なNHK大河ドラマ

 来年のNHK大河ドラマの主人公は平清盛であり、しかも、時代を変革したヒーローとして描くそうです。悪人のイメージを払拭したいそうなのですが、『平家物語』を読めば、権力を私物化して密告体制を敷き、しかも、対宋貿易で巨万の富を独占した清盛が、ヒーローのはずはありません。

 来年のドラマに疑問を持っていたところ、浅井長政の三女、お江与の方を取り上げた今年の大河ドラマにも、同様の歴史の歪曲があるようなのです。実のところ、これまでのお江与の方のイメージは、ヒロインとはほど遠く、むしろ、悲劇のヒロインではなかったかと思うのです。何故ならば、政略結婚を繰り返えさせられた上に、春日局の直訴により、徳川家康が、第二代将軍に家光を選んだことで、二男忠長を押すお江与は、お世継ぎ争いでは敗者の側となったからです(直訴の件は史実かどうかは疑わしいが、世継争いはあったらしい・・・)。その背景には、徳川家康織田家排斥の方針が伺われ、大阪城落城の憂き目にあった千姫や、後に家光によって自刃を迫られた忠長(正室は織田信良の娘)の運命も、この流れにあるようです。徳川家で唯一荼毘に付され、崇源院を冠する法名も、どこかものがなしげです(崇道天皇崇徳天皇を思い起こさせる・・・)。

 お市の方淀殿など、戦国の世に散ったヒロインではなく、むしろ、華やかな歴史舞台の影で生きた人物をヒロインに仕立てたかったのでしょうが、事実は小説より奇なり、というように、史実に忠実に描くほうが、よほど歴史の深みが伝わるのではないかと思うのです。

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