時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「赤い竜red dragon」の‘人のメンタリティー改造計画’の一端を担う「歴女」ブーム

 本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。「赤い竜red dragon」の‘人のメンタリティー改造計画’によって人類の凶暴化が図られ、子供たちを対象とした工作活動が展開されている可能性について、昨日述べましたが、女性に対しても、同じ様なメンタリティー改造計画が行われているかもしれません。この点につきまして、その一端を窺わせる以下のような問題を指摘することができます。
 
一つは、昨今の所謂「歴女」ブームです。「歴女」とは、歴史に詳しい女性が増加しているとして、マスコミが、このような女性たちに対しまして命名した用語です。ところが、「歴女」は、女性が歴史に興味を持ち、歴史全般に詳しくなることであれば歴史観を培う上で良いことなのですが、何故か、戦国時代の武将たちに関する歴史に詳しい女性にのみ限定されているのです。
 
孫子の兵法」の孫子が中国春秋戦国時代の人物であることによってもわかりますように、我が国の応仁の乱以降の’武者の世’、すなわち、戦国時代も、武士道が成立した平安後期や鎌倉時代等と比較して、特にマキャベリズムがまかり通っていたような時代です。風林火山武田信玄をはじめ、『孫子』の影響もかなりありました。日本国の戦国時代も、自分以外の人は、みな獲物かライバルであると捉え、人を騙したり、蹴落としたりするような恐竜時代の世界のような獰猛で野蛮な世界に近かったと言えるでしょう。
 
したがいまして、マスコミが「歴女」ブームをつくり、あたかも、戦国時代にマキャベリズムを徹底させた生き方をした武将たちを、人気の高いヒーローであるかのごとくに持ち上げることは、戦国時代そのものを称揚することに繋がってまいります。「歴女」ブームによって、知らず知らずの間に、女性たちは、弱肉強食の世界を躍動感にあふれた時代であるかのように思い込まされ、”乱世”に憧れてしまうかもしれないのです。
 
また、男性たちも、「歴女」に人気のある武将のような生き方を真似しようとするようになり、かくて、「赤い竜red dragon」の‘人のメンタリティー改造計画’によって人類の凶暴化は、進められてしまうことになるのでしょう。しかしながら、戦国時代のような世界は、人類が目指すべき世界であるのでしょうか。この点を考えますと、「歴女」ブームは、想像以上に人々のメンタリティーに対して危険なブームであるように思えるのです。

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(続く)