時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

フランス革命とカトリックの関係-フランシスコ会の影響

  今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。フランス革命におけるイルミナティー思想の影響は、「荒くれ男」や「荒くれ女」からなる「カルマニョールCarmagnole」という集団とフランシスコ会の思想との関係においても窺うことができます。
 
本年9月11日・13日付本ブログにて指摘いたしましたように、フランス革命期に、奇抜な服装や半裸の姿で踊りながら練り歩き、善良な市民を残忍な方法で次々に殺害してゆく「カルマニョール」という野蛮な集団がパリに現れます。「カルマニョール」のメンバーは、互いに「ジャックJack」という洗礼名の合言葉で呼び合っていたことから、この集団は、カトリック系の集団であったと考えられます。パリは、イグナティウス・ロヨラ、ならびに、フランシスコ・ザビエルなどの修道士たちによって、1534年にイエズス会が結成された場所ですので、イエズス会は、パリの貧民地区の下層民(多くは移民)を組織して、「カルマニョール」という組織をつくっていた可能性があるのです。そして、イエズス会の中でも、特に、カトリックフランシスコ会と近い関係にある過激派グループが、「カルマニョール」をつくったのではないか、と考えられます。
 
本年6月4日から7日にかけての本ブログにて述べましたように、ロヨラやザビエルをはじめとしたイエズス会内のフランシスコ派は、フランシスコ会の思想の影響を強く受けて、人類の非文明化・動物化を目的として活動してきているようです。そこで、「カルマニョールCarmagnole」が南フランスのプロヴァンス地方の丈が短く襟のひろい上着の名称であることは注目されます。プロヴァンス地方出身の女性を母に持ち、父とは鋭く対立したアッシジのフランチェスコによって創設されたフランシスコ会の思想には、本年6月12日に指摘いたしましたように、以下の問題があります。
 
――フランチェスコは貧しさを礼賛することにかけては徹底しており、物質的な豊かさのみならず、精神的ないし知的な豊かささえも認めなかった――
 
 聖フランチェスコのこのような考え方を実践した場合、当然に、人類の非文明化、動物化が起こります。衣服を纏わず、知性も理性も持たないとなりますと、人類と動物との違いは消え去ります(『旧約聖書』の「創世記」の記述とも矛盾する…)。さらに、南フランスは、イスラム勢力(モロッコ)によって一時的に支配されていた時期があり、フランシスコ会の思想はイスラム教の影響も受けていると推測されます。
 
このような点から、「カルマニョールCarmagnole」の背景には、イエズス会の中でも、フランシスコ会と密接な関係にあるグループがあったと推測することができるのです。そして、このグループが、秘かに崇拝しているのが、「黒マリア(グノーシス派のソフィア?)」であり、その「黒マリア」こそが、イルミナティーが崇拝する山羊神の「バフォメットBAPHOMET」、すなわち、悪魔のことでもあることは、なぜ、フランス革命が野蛮な方向へと向かったのか、その理由を説明しているのではないでしょうか。

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(続く)