時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

大アジア主義の原点はイルミナティーにあった?

今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。「第二次世界大戦は、一握りの気違いによって起こされた」と言われております。こうした言葉から、近現代におけるカルト思想の問題も、世界大戦の原因究明において検証すべき重要な課題です。
 

そこで、この時代、どのような思想が広まっていたのか、といった問題をめぐりましては、「大アジア主義」という思想が注目されてまいります。この西欧文明を廃した“アジア的世界”を理想とするような思想は、一般的には日本国や中国などの東アジア地域から生じたと見做されておりますが、実はそうではないようなのです。大アジア主義の原点につきまして、昨日、日露戦争時代にロシアの財務大臣であったセルゲイ・ヴィッテSergei Yulyevich Witteの従妹のヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキーHelena Petrovna Blavatsky1831812日 – 189158) に注目してみる必要があるようなのです。

 
ヴィッテとはロシア貴族であった母方を通して従妹にあたるブラヴァツキーは、反キリスト教団体であって、フリーメイソンイルミナティー)との関連の強いオカルティズムの神智学協会を創設しております。Wikipedia(英語版)によりますと、ブラヴァツキーの本名は、「ヘレナ・ペテロヴァ・フォン・ハンHelena Petrovna von Hahn」であり、ウクライナのエカチェリノスラーフ(「エカチェリーナの栄光」の意)で出生したと言います。帝政ロシアには、ロシア系貴族とキプチャク・ハン国に由来するアジア・モンゴル系貴族の2種類の貴族があったのですが、「ハンHahn」という苗字は、ヴィッテとブラヴァツキーが、アジア・モンゴル系貴族であったことを示しているのです。
 
Wikipedia(日本語版)によりますと、「神智学協会は、「偉大な魂」(マハトマ)による古代の智慧Ancient Wisdom)の開示を通じて諸宗教の対立を超えた「古代の智慧」「根源的な神的叡智」への回帰をめざしていた。その思想は、キリスト教・仏教・ヒンドゥー教古代エジプトの宗教をはじめ、さまざまな宗教や神秘主義思想を折衷したものである」そうです。特に、インド・アジア思想がその中心となっており、「1879年、アーリヤ・サマージの運動に共鳴し、神智学協会の本部はインドのアディヤールに移転。神智学協会の機関紙として『ザ・セオソフィスト(神智学徒)』と『ルシファー』を刊行。クートフーミ導師(マハトマ)とモリヤ導師教えを受けたと主張しはじめる。大師(マスター)から物質化した手紙を受け取っているともしていたが、疑問に思う人も存在し、物議をかもしていた」そうです(機関紙の『ルシファー』という雑誌名は、神智学協会がイルミナティーの下部組織であることを明示)。
 

丁度、日本国におきまして大アジア主義が唱えられる前夜に、ブラヴァツキー女史が登場し、神智学を弘めていた点は重要です。アジア・モンゴル系のブラヴァツキー女史の思想が、反キリスト教・反西欧文明の思想であること、神智学と大アジア主義が、ともにインド思想との繋がりが強いことを踏まえますと、大アジア主義の原点には、ブラヴァツキー女史があり、さらに、その背後にはイルミナティーがあったと言えるのではないでしょうか。


 

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(続く)