時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国際司法裁判所とハンディ・キャップ論

 つい何カ月か前の出来事として、国際司法裁判所の所長に小和田氏が就任するというニュースがありました。しかしながら、氏が、日本国は永久に完全な主権国家とはなれないと主張するハンディ・キャップ論者であったことを考えますと、この人事には、いささか不安を抱かざるを得ないのです。

 なぜならば、国際司法裁判所とは、すべての国家の主権平等を前提として設立されているからです。ハンディ・キャップ論とは、その逆の思想であり、特定の国は、戦争などの過去の行為により、主権的な権限が制限されてもよいとする考え方です。この思想によれば、特定の国は、他の国よりも権限において劣っており、十分な権利主張も、義務の履行もできないことになります。つまり、国家間の権利の不平等を是認したに等しいのです。しかも、この主権を制限され、手足を縛られている特定の国こそ、他でもない、日本国なのです・・・。この側面から見ますと、今回の人事は矛盾に満ちていると言えましょう。

 ハンディ・キャップ思想に基づいて裁判が行われるとなりますと、これはもう、公平・中立な裁判と言うよりも、政治的な断罪となりかねません。司法制度とは、個々の平等性を基本にしてこそ成立する制度ですので、国際司法裁判所は、信頼性を確保するためにも、国家間の主権平等の原則こそ尊重すべきと思うのです。

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