時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

韓国の個人賠償請求には法的根拠が欠如している

 先日の仙谷官房長官の発言と菅談話を受けて、韓国政府は、日本国政府に対する個人賠償の請求を始めるのではないかとする憶測が流れています。しかしながら、よくよく考えてみますと、韓国側の請求権自体に法的な根拠がないのではないかと思うのです。

 サンフランシスコ講和条約では、連合国に対しては、戦時中の被害についての賠償や在外財産についての請求権を認めています。しかしながら、韓国は、講和条約の締約国ではありませんので、この条約の枠外にあります。特に、従軍慰安婦については、第二次世界大戦当時の国際法は、全くその存在を予定していませんでしたし、法律論に耐え得るほど、その存在が立証されているわけでもありません。過去の植民地支配に対する賠償もまた、現在でさえ、国際法化されてはいないのです。そうであるからこそ、日本国政府は、人道的な立場から被害者とされる人々に対して、様々な支援活動を行ってもきたのです。

 日韓基本関係条約に際し締結された日韓請求権協定により、全ての個人賠償の問題は解決されたという立場を、日本国政府は、今のところは堅持しているようです。韓国政府は、賠償請求権という法的な言葉を使うならば、まずは、国際法における法的な根拠を明示すべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<a href="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</a>