時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「パナマ文書」は「赤いドラゴンthe Red Dragon」の姿を浮かび上がらせるのか

 今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。引き続き、「2016年問題」について扱ってまいります。前回の4月12日付の本ブログにて、『聖書』黙示録The Revelationのキーワードが、「パナマ文書Panama Papers」の特徴と符号してくる可能性がある点として挙げた6点のうち、①悪人の増加increase of evil peopleについて扱いましたが、スイスでは、パナマ文書の調査・分析から、早速に、モディリアーニの作品の盗難事件が解決されつつあることは、タックスヘイブンの問題のみならず、やはり、膨大な数の様々な犯罪行為、ならびに、犯罪者、すなわち、‘多数の悪’が世界に蔓延していることが明らかとなってくる可能性を示している、と言うことができるでしょう。
 
では、第2点の「②その巨悪な人々を代表する赤いドラゴンthe red dragon」という黙示録のキーワードは、「パナマ文書」の調査・分析によって、「パナマ文書」とどのように符号してくる可能性があるのでしょうか。
 
黙示録に登場する「赤いドラゴンthe red dragon」とは、人類を悪によって支配し、「最後の審判の日」を間近とした時期において、人類に災禍をもたらす最高権力者のことです。「赤いドラゴンthe red dragon」が何を意味しているのか、につきましては、諸説はありますが、一般的に、「赤」は共産主義、「ドラゴン」は中国を意味いたしますので、中国共産党である、という解釈は成り立ちます。あるいは、「赤いドラゴン」は、英国ウェールズWalesのことである、とお考えの方々もおられるかもしれません。いずれにいたしましても、人々を恐怖、暴力、不正によって‘支配’する巨悪が、「赤いドラゴンthe red dragon」であることになります。
 
そこで、現時点において、報道によって知り得る「パナマ文書」の内容から、この文書の特徴を見て見ますと、“人々を恐怖、暴力、不正によって‘支配’することを好む独裁者の多くが、租税回避・マネーロンダリングなどによる不正蓄財にかかわっている”ことを示している、という特徴があるようです。
 
例えば、毛沢東の親族、習近平に近い人物、KGB出身のロシアのプーチン大統領に近い人物、北朝鮮関連企業など、共産・社会主義国の独裁者、ならびに、その親族などといった関係者が、「パナマ文書」には、多く含まれているのです。さらに、シリアのアサド大統領など、明確に、共産・社会主義を標ぼうしていないといたしましても、人々を恐怖、暴力、不正によって‘支配’することを好む独裁者、ならびに、その関係者の名も多いという特徴も指摘することができます。
 
共産・社会主義体制、ならびに、実質的に共産・社会主義体制に近い体制を敷く国は、独裁者を生み出すことは、歴史が証明しているとおりであり、むしろ、人々を恐怖、暴力、不正によって‘支配’することを好むからこそ、共産・社会主義体制、ならびに、実質的に共産・社会主義体制に近い体制を敷く人々が、存在している、と言うことができるのかもしれません。「パナマ文書」は、こうした「赤いドラゴンthe red dragon」の姿を浮かびあがらせることになるのかもしれないのです。

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(続く)