時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「あかずきんちゃん」と詐欺のテクニック

 今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。昨日、シャルル・ペローCharles Perrault1628112 - 1703516日)の童話やグリムの童話でよく知られた「あかずきんちゃん」が、イルミナティーの策略の危険性を警告するかのような童話であると述べました。

 
ナショナル・ジオグラフィックのインターネット版によりますと、「あきずきんちゃん」と「狼と七匹の小山羊」という、天才的に騙しが得意な狼と、その狼に騙されそうになる犠牲者という構図の2つのお話には、中国起源の共通の昔話があるとする説があります。起源がアジアにあるとしますと、その原話は、東方世界に頻繁に見られる狡猾さや騙しの巧妙さを人々に知らしめ、用心を促すためにつくられたのかもしれません。チンギス・ハンGenghis Khanが自らを「蒼き狼」に喩えたように、狼にはモンゴルのイメージもあります。
 
このお話を初めて童話として纏めたペローは、17・18世紀のフランス人ですので、ヨーロッパに既に伝わっていた原話を土台に、「あかずきんちゃん」を創作したとも推測されます(モンゴル帝国の拡大とズベティのヨーロッパ侵入が、こうしたモンゴルにまつわるお話の拡散に繋がっていたのかもしれない…)。そして、イルミナティーの中心にあるロスチャイルド家が、中国・モンゴル系ユダヤ人である可能性からしますと、「あかずきんちゃん」は、今日でも、その教訓としての有効性を失ってはいません。
 
ちなみに、「狼と七匹の小山羊」の日本での紹介はペローの編纂と凡そ同時期であり、イエズス会の宣教師が持ち込んだ活版印刷機により、1593年に九州の天草で印刷されたそうです。1590年6月21日に、活版印刷機を初めて日本にもたらしたのは、イエズス会内において、フランシスコ派と対立していたイタリアの宣教師・ヴァリニャーノAlessandro Valignano / Valignani1539215 - 1606120日)でした。つまり、「狼と七匹の小山羊」は(ただし、日本版は狼ではなく狸であったらしい…)、反フランシスコ派の宣教師の手によって出版・普及されたのです。ヴァリニャーノは、決して信用してはならない騙しの天才がこの世に存在することを、日本人に伝えたかったのかもしれないのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

  


(続く)