時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

『アンネの日記』から見えてくる第二次世界大戦謀略説

 今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。『アンネの日記』の真贋をめぐって、フランク一家の隠れ家生活の原型が存在した可能性が高いとなりますと、8名もの人々が、少なくとも2年間もの間は無事に隠れ家に潜んでいたことになりますが、このことは、新たな謎を呼ぶこととなります
 
それは、これらの8名の人々が、ナチス・ドイツによるオランダの占領は、数年内に終わると想定していたと推測できるからです。仮に、フランク一家を含む8名の人々が、未来永劫にわたって占領状態が続くと想定していれば、8名の人々は隠れ家に潜むという選択をせず、国外に逃亡していたのではないでしょうか。これらの8名の人々は、一生涯隠れ家で過ごすことになるわけですから…。
 
このように考えますと、これらの8名は、‘いずれナチス・ドイツによるオランダ占領は、連合軍によるノルマンディー上陸作戦によって終わる’ということを知っていた、ということになるのです。
 
そして、奇妙な点は、これらの8名に食糧などの生活必需品を運んで支援していた人々とヒトラーとの接点です。中心的人物であるヴィクトール・クーフレルVictor Kugler190065 - 19811216日)は、オーストリア系オランダ人男性で、オーストリア=ハンガリー帝国領ホーエンエルベ(Hohenelbe、現在のチェコ領ヴルフラビー Vrchlabí)に生まれております。アドルフ・ヒトラーAdolf Hitler 1889420 - 1945430日)の出生地が、チェコに接したオーストリア=ハンガリー帝国オーバーエスターライヒ州であり、また、ヒトラー姓が、東方植民したボヘミアドイツ人、およびチェコ人・スロバキア人などに見られるとも言われている点を踏まえますと、両者には、何らかの地縁か血縁があった可能性を指摘することができます。
 
そして、『アンネの日記』の発見者であるミープ・ヒース Miep Gies1909215 - 2010111日)も、オーストリア・ハンガリー帝国首都ウィーンで生まれているのです。
 
そもそも、ナチスヒトラー政権の言う「ユダヤ人」の範疇には、マラーノのように早期にキリスト教に改宗していた‘ユダヤ人’は含まれていなかったと推測することができ、このような元ユダヤ人たちが、「ユダヤ人」を支援していたと推測することができるとともに、「黒いユダヤ人」の政権であるヒトラー政権との間に見えない地下水脈があったと推測されるのです。
 
このように考えますと、ヒトラー政権自体が、最初からドイツの敗北を知っていたということになり、第二次世界大戦は、壮大なる謀略ではなかったか、という疑義が提起されてくることになるでしょう。

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(続く)