時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

鳩山首相は共有主義者なのか?

 定住外国人への地方参政権付与法案は、今国会での提出は見送られるようです。以前から、鳩山首相は、”日本列島は日本人だけのものではない”と発言したことで物議を醸しておりましたが、もしかしますと、首相は、共有主義者なのではないかと思うのです。

 この問題をめぐる国会での質疑応答でも、”宇宙ができて137億年であり・・・、地球は、人間だけのものではない”とも述べたと伝わります。”宇宙人”との異名を取る首相らしい発言なのですが、その内容には、”所有権の保障”という概念が抜け落ちているようなのです。個人の所有権と同じく、国家にも領有権があります。国際社会では、国家と国家の間に国境線を引き、国際社会がその線引きを承認することで、相互に相手の権利を認め、侵略を防いでいるのです。もちろん、国境紛争は未だに残されていますが、領有権の相互保障によって、現在の国際社会の平和が、曲がりなりにも保たれているとも言えます。もし、領有権という概念が消滅すれば、当然に、覇権主義国の侵略が許されるようになり、人類社会に計り知れない混乱に陥ります。

 もし、鳩山首相の発言を”地球は全人類のものであり、そこには個別の領有権は存在しない”という意味に採りますと、国際社会における法の秩序は根底からひっくり返ることになります。これは、共産主義とも通じる考え方であり、全てが”共有”となってしまうのです。実業家の系譜に属する首相が、共有思想に共鳴するとは思えないのですが、理想主義が、時にして現実世界にカオスにもたらすのではないかと心配になるのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>