時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

皇居移転論より先に論じるべきこと

 亀井金融相が、宮中昼食会の席で、皇居を京都か広島に移すべきではないかと発言したことが、物議を醸しているようです。もし、亀井氏の発言が、皇室は、政治権力から離れるべきであるとするものであるならば、移転論より先に、如何にして皇室の政治的な中立・公平性を保つのか、という問題を議論すべきではないかと思うのです。

 先日、天皇陛下と中国の習副主席との会見が皇室の政治利用に当たる、として激しい非難を浴びました。この非難の背景には、統合の象徴としての天皇のお立場は、内外ともに分け隔てなく、公平であるべしとする考えがありました。皇居移転は、確かに祭祀と政治を離すという意味において意義があるのかもしれませんが、たとえ地理的な分離を行っても、京都において皇室が特定の政治集団や宗教団体に取り囲まれてしまっては、逆に、政治利用の危険性が増す可能性もあります。

 現状でも、外務省との外戚を通した繋がりのみならず、宮内庁に対する特定の宗教団体による組織的な影響力の浸透も噂されており、必ずしも”皇室利用”の危険性がないわけではありません。皇室が、外部からの不当な介入を受けぬような仕組みをまずは考えるべきと思うのです。

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