時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

外国人参政権法案提出―マニフェスト方式の自己否定

 民主党政権が次期通常国会に提出予定とする外交人参政権法案は、先の衆議院選挙において、マニフェストに記載がありませんでした。もし、マニフェストに記載のない法案を、政府提出の上に党議拘束をかけ、しかも、強行採決するとなりますと、これは、民主主義の否定であると同時に、マニフェスト方式の自己否定になるのではないかと思うのです。

 民主党は、ことあるごとに、”国民との約束”として、マニフェストの尊重に言及してきました。マニフェスト方式とは、選挙が、政党に対する国民の”白紙委任”とならないための工夫であり、欠点はあるものの、政権成立後のおおよその政策方針を国民は知ることができました。マニフェストを読んだ国民は、記載のない政策は行うことはないであろうと判断し、安心して投票したかもしれません。つまり、少なくない国民が、政党の良心と良識を信じて一票を投じたことになります。にもかかわらず、民主党政権が、国民の反対を押し切って(地方自治体レベルでは反対決議が採択されている・・・)、マニフェストに記載のない法案の成立を強引に進めるとなりますと、国民の多くは、それを一種の”裏切り”あるいは、”背信行為”と見ることになりましょう。マニフェストにない法案は、基本的には立法しないこともまた、”国民との約束”のはずです。

 そうしてそれは、マニフェスト方式の自己否定となります。何故ならば、マニフェストに関係なく、勝手に法案を提出しているのですから、これでは、”白紙委任”の状態への逆戻となるからです。マニフェストの拘束性は、記載された政策のみならず、記載されていない政策にも及びます。民主党は、マニフェストの意義を重視するならば、本法案の提出は見送るべきと思うのです。

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