時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

夫婦別姓法案―家族は世界標準化すべきか?

 夫婦別姓法案を推進する理由として、国連による勧告が挙げられることがあります。もし、国連の勧告に従うとしますと、家族は世界標準化されるべき、ということになるのですが、それでよいのでしょうか。

 世界各国における家族のありかたは千差万別であり、およそ一元化には程遠い状況にあります。その理由は、それぞれが、国民の慣習や伝統を引き継いでいるからであり、家族によって構成される社会秩序を支えてきたからです。家族制度に安易に手を加えますと、社会そのものが崩壊してしまうことが予測される場合も少なくありません。こうした固有性が強い分野において、国連が、加盟国に対して標準化を求めるとしますと、様々な社会問題が発生してしまいます。実際に、国連の女子差別撤廃員会の勧告には拘束力はなく、女子差別撤廃条約は、立法の根拠とはなりません。また、当条約の第16条(g)では、姓や職業の選択を含めて、夫及び妻の同一の個人的権利を確保することを求めていますが、夫婦別姓を定めているわけでもありません。何故ならば、夫婦同姓であっても、姓を選ぶ権利が平等に認められているからです。フェミニストが反対しているのは、姓をどちらかに”合わせる”ことなのです。

 この条約には問題点が多いためにか、国家の数は200カ国に迫りますが、その内、当条約に加盟しているのは、わずか22カ国に過ぎないようです。国連の機関が民法の分野に介入することは、民主主義の否定にもなりますので、この法案は、国連の権威を傘にして立法を進めることには慎重であるべきと思うのです。

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