時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日中首脳会談―”安定”という名の北朝鮮の独裁体制固定化

 昨日、野田首相は、日中首脳会談に臨み、北朝鮮の安定化を目指すことで合意したそうです。しかしながら、”安定”という言葉ほど、危ない言葉もないと思うのです。

 何故ならば、”安定”とは、必ずしも良好な状態を意味するわけではなく、極めて劣悪な状態でも、”安定”してしまうことがあるからです。一党独裁体制を堅持している中国が合意したのですから、その意味するところは、当然に、”独裁体制を安定化させる”ということに他なりません。北朝鮮の独裁体制の崩壊や体制移行は、中国にとっては、”安定”ではなく、”不安定”なのです。こうした方針に、日本国政府が迂闊に同意しますと、独裁体制の固定化を容認したと受け取られることにもなりかねません。

 日本国は、自由で民主的な国家なのですから、野田首相には、日中首脳会談において、堂々と、北朝鮮民主化を訴えるべきでした。”安定”を犠牲にしても、実現すべき価値はあると思うのです。

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