時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

共和党ロムニー氏の敗北―迷走する政党

 接戦が報じられてきたアメリカ大統領選挙は、オバマ氏の再選をもって幕を閉じようとしています。ところで、共和党ロムニー氏の敗北は、どこか、先の衆議院選挙における自民党の敗北とも似通っているように思えるのです。

 両者の共通点とは、保守政党としての立ち位置が揺らいでしまったことです。今回のアメリカの大統領選挙では、当初劣勢であったロムニー氏が中盤から終盤にきて急速に追い上げをかけましたが、その過程で、ロムニー氏の政策は、中道へと舵を切ったと指摘されています。自民党もまた、政権を維持するために、中道左派公明党と結んできましたが、自公の接近は、保守層の自民党離れを引き起こす原因ともなりました。相手陣営の支持層を取り込むために、政策方針を反対方向に修正することは、選挙の戦略としてしばしば使われますが、これが行き過ぎますと、従来の支持基盤を失うという失策となりかねません。もちろん、この逆パターンもまたあり得ることであり、左派政党が、右派政党の支持層を取り込むために、右寄りに政策を転換しますと、自らの支持層を失うことになります。

 今回の大統領選挙もまた、政党の選挙戦略の難しさを端的に顕わしています。そして、短期的な思惑による政策のすり寄りや政党間の離合集散は、国民を惑わすとともに、自らの基盤をも危うくすることを示唆していると思うのです。

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