時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

橋下氏は革命家-”一から日本を造り直す”

 総選挙も近づき、テレビなどでは、各政党の立会演説会の光景を報じるようになりました。日本維新の会の橋下氏も、マイクを握って熱心に演説をぶっているのですが、その内容を聴いてみますと、橋下氏は、革命家なのではないかと思うのです。

 橋下氏は、”一から日本を造り直す”というフレーズを愛用しています。既得権益や既存のシステムに対するアンチ・テーゼなのでしょうが、この”一から”という言葉に、あらゆる既存のものを否定したい氏の心情が現れています。しかしながら、一から作り直すことは、極めて非効率であり、膨大な時間や労力を要するものです。得てして、統治制度と言うものは、長い時間をかけて欠点や問題点を修正しながら発展してきたものであり、今日、人々が、一先ずは安定した制度の下で生活を送れるのも、過去の積み重ねや経験知があるからです(もちろん、この過程で、要・不要が峻別されたり、新たな仕組みが考案されたりする…)。これまでの経験から獲得してきた知見を活かし、現存の制度を改良・改革した方が、将来に向けて発展の道を歩むこともできます(全てを壊して更地に戻すと、伝統や文化を含め、過去からの蓄積を失い、時間軸を逆行することに…)。

 橋下氏は、保守政治家の仮面を被って登場してきましたが、”一から日本を造り直す”と言う言葉に、どこか戦慄を覚えるのです。日本国を一旦更地にして(リセット)、過去の日本国とは別物にしてしまうような…。

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